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メジャー監督、デビューを目指して!

天才 勝新太郎~求めすぎた理想の果てに

昨年は読書は20数冊で終わりましたが、今年は何とか倍の
40冊近くは読みたいですね。


この本の存在は知っていたので、もっと早く読みたかったの
ですが、ようやくでした。


年末年始にかけて読んでました。

勝新に対する印象がめちゃめちゃ変わりましたね。


「天才 勝新太郎」 春日太一(著)

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勝新太郎といえば、豪快で、色々な伝説があり、イメージが先行して
しまっている感じがしていました。

映画で言えば、「座頭市=勝新太郎」であり、それ以外は何があるのか?
と、僕も思っていました。

が、本書を読むと、いやいや勝ほど映画を、役者を愛してた人は
いないのではないか?と思える程でした。

豪快なイメージとは程遠い、繊細なその感受性。
そして、自分がこだわったことなら、例え、世間では巨匠と呼ばれる監督とも
一歩も譲らない、この一本気な性格。


僕が一番驚いたのが、勝が市川雷蔵への憧れとライバル心をあわせ持った
感情をずうっと持っていたことでした。

長谷川一夫を真似て、でも、真似られず、自分のスタイルを探して
いた時代、市川雷蔵はすでに独自のスタイルを確立していました。

雷蔵に追いつけ、追い越せと、ばかりに勝新太郎は、もがき苦しみながらも
前へ前へと進みます。

やがて、立場は逆転するほど、勝は一気にスターへの階段を上りますが、
それでも、雷蔵には勝てないという気持ちが残っていました。

雷蔵は映画デビューから、巨匠と呼ばれる監督たちと仕事をしてきました。
勝が巨匠監督たちと仕事をするのにも、やはり雷蔵へのライバル心が
ありました。


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しかし、己の気持ちにうそがつけない勝は、たとえ巨匠でも自分が
気に入らない演出には首を縦に出来なかった。

ゆえに、巨匠監督との勝の仕事はうまくいっておらず、映画としても
評価が低いものがあります。

最後の望みとして、黒澤明に託すも、お互いの映画への価値観が違うためか、
やがて決裂してしまう。

まあ、僕が市川雷蔵が好きなんで、雷蔵のことばかり書きましたが、
これ以外にも、演出家・監督・勝新太郎の才能のすごさやシナリオに
頼ることなく、自分の直感を信じての即興の演出術など、すごい話ばかりで、
ページをめくるのが楽しくて仕方ない感じでした。

更なる理想を求め続けたゆえに、次第にその理想についていけない
人たちは離れていく。

それでも自分の理想の演技、演出、映画を求めて、勝は前へ前へと
進んでいった。


男の美学、役者の美学、映画屋の美学を、ここに見たような気がしました。


勝新映画をもっと見たくなりました。
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by fyamasan | 2012-01-10 02:19 | 読書 | Comments(0)