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単騎、千里を走る~父と息子、家族の絆

映画「単騎、千里を走る」を見て、
日本人と中国人の国境を越えた友情に感動しましたが、
帰ってからニュースで、映画「SAYURI」が中国で上映禁止に
なったことを知り、寂しい気持ちにならざるを得ませんでした。

単騎、千里を走る~父と息子、家族の絆_c0033213_3433366.jpg
高田剛一(高倉健)は、疎遠に
なっている一人息子、健一
(中井貴一)が、ガンで余命
少ない事を知る。
健一は、中国の仮面劇の
TV取材をしていたが、
「単騎、千里を走る」の
映像だけは撮り逃していた。
見舞いに行っても会って
くれない、そんな息子の
心を知りたいと思った
剛一は、一人、息子の為に、
「単騎、千里を走る」の
撮影に、中国へ向かう。


さて、中国に着いてみたが、「単騎、千里を走る」で
主役、関羽を演じる役者が事件を起こして、只今服役中だという。
他の人でいいじゃないかと、通訳は言うが、健一が見たいのは、
彼が演じる関羽であるので、どうしてもと、刑務所のお偉いさん方を
説得して、何とか、撮影の許可を貰う。
しかし、またここで問題が。
実はこの役者には、生き別れた一人息子がいるのだが、
剛一の話を聞き、その息子に会いたくなり、泣き崩れてしまい、
劇をするどころではなくなった。
そんな彼を見て、剛一は息子を連れてこようと、息子がいる
僻地へと向かった。

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健さんはここでも健さんである。
「寡黙で頑固者。まっすぐだが、自分の気持ちを上手く伝えられない」
そんな「不器用な健さん」の為に、監督のチャン・イーモウが
脚本を書いている。
実は監督のイーモウが初めて見た外国映画が、高倉健主演作品。
それ以来、いつか健さんと仕事がしたいと考えていたという。
「HERO」、「LOVERS」でハリウッド進出も果たして、今や名匠となった
イーモウに、ようやくその夢が実現した。

物語は父が息子との絆を取り戻していく話ですが、言葉だけでは
分かり合えない、本来の人間の絆があるんですね。
日本語と中国語、言葉が違うぶんだけ、お互いの真心が伝わっていく。
中国人とは上手く交流出来た剛一ですが、
息子とは再び、絆を取り戻すことが出来たのでしょうか?

僕が一番ジーンときた場面があります。
劇役者の息子のいる僻地へたどり着いた剛一を、村の人は歓迎の
意味を込めて、村の人全員で剛一を囲んでテーブルを並べて
食事をする。村人には大事な客人であるが、家族の一員でもあるのだ。
この場面を見ると、「三国志」や「水滸伝」などで見られる人情や
義に厚い中国人の真心が伝わってくる。

単騎、千里を走る~父と息子、家族の絆_c0033213_4322091.jpg


剛一と日本語の上手ではない通訳者との兼ね合いも面白いし、
中国の雄大な自然をスクリーンで見ると、圧巻の一言。
日本では到底撮れないこの映像、見ものですよ。

また、「あの子を探して」でもそうでしたが、イーモウ監督は素人を
撮るのが上手いなあと、あらためて思いました。
(通訳者をはじめ、殆どが素人だったといいます)
最近は演技が上手い子役も多いので、かえってこの映画の
素人の演技は、高倉健いわく、「演技を超えたものがあった」と
いえるほど、素晴らしいの一言!
素直に感動が出来ました。

僕の母ももう60歳を過ぎていますが、健さんファンなので、
オススメしますが、10代あたりの人には、健さんはどのように
映るのでしょうかね。
「初恋のきた道」や「あの子を探して」が好きな人には、
気に入ってもらえるかな。

冒頭にも書きましたが、映画、音楽、絵画など芸術と
呼ばれるものは、言葉が通じなくても、その気持ちが伝わり、
それが国家間を超えて人間を結びつけるものなのに、
「SAYURI」を上映禁止にする中国当局のやり方は、
如何なものかと思います。
中国人が「ゲイシャ」を演じているのが、不快だとありましたが、
それは本来の「芸者」の役割を知らない事から、出てきてるので、
映画が意図するものとは、違った方向へ行っているのが、残念です。


最後に、シネマスポットからの抜粋ですが、
「単騎、千里を走る」について、

「千里走単騎」は、日本でも馴染み深い「三国志」に由来する、
中国の京劇の演目である。後の蜀帝・劉備の義弟・関羽が、
劉備の妻子と共に宿敵・曹操の手に落ちるが、劉備への義理と
誠を貫き通し、最後はただ独りで劉備の妻子を伴い曹操の下を
脱出し、劉備のもとへ帰還するという三国志の中でも最も感動的な
エピソードの一つである。今もなお関羽は、中国民衆の中でも
人気の高い人物で、商いの神様としてあがめられている地方もある


関西では南京街に「関羽像」がありますね。
by fyamasan | 2006-01-24 04:41 | 映画

メジャー監督、デビューを目指して!


by fyamasan
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