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グッドナイト、グッドラック~真のジャーナリズムとは?

9・11以降、アメリカのイスラム教国への攻撃。
中近東でも終わり無き紛争。
日本では拉致被害などからの北朝鮮への
過激な対応を迫る声など、今も世界はこの映画の時の
ように、様々な問題を抱えている。
こんな時代だからこそ、ジャーナリズムの意義を問う
この映画が生まれたのかもしれない。
ジョージ・クルーニ監督&出演の
映画「グッドナイト、グッドラック」

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1953年の3月。
アメリカは三大放送局の一つ、CBSが一つの番組を放送した。
当時、支持率50%を越えて、「赤狩り隊」の先頭で大きく力を
持っていた、ジョセフ・マッカーシー上院議員への非難である。
当時、泣く子も黙る、触れてはいけない存在だったマッカーシーに、
公共の電波を通じて、CBSは戦いを挑んだ。
番組はCBSの看板司会者、エド・マロー。
映画はこのエド・マローとその番組スタッフ達が信念を持って、
アメリカの正義を守る6ヶ月に及ぶ話であります。

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1950年代、アメリカを揺り動かした「赤狩り」。
歴史の教科書や、これまで何度か映画でも取り上げられて
いるので、皆さん内容はご存知だと思いますので、ここでは詳しく
触れません。

映画は約90分と本当にコンパクトに収まっています。
いらない部分はそぎ落として、重要な所だけを集めた、
そんな印象を受けます。
全編モノクロで、これは実際のマッカーシー上院議員の映像を
使うためだそうですが、このモノクロが50年代を現していて、
物凄くいいです。
この時代のニュースキャスターは、番組中でもタバコを吸うし、
タバコのCMまであります。今となっては考えられないですね。
随所、随所に出てくる、ダイアン・リーブスが歌うジャズ、
これが映画になんともいい雰囲気を与えています。


この映画の見所は、エド・マーローを演じた
デヴィッド・ストラザーンの迫真の演技に尽きますね。
なぜ、オスカーを取れなかったのか?と不思議に思えます。

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僕的には、私立探偵、フィリップ・マーローのような
ハードボイルドな渋い男を感じさせました。
しかも知性を持ち合わせて、正義感もある。
今、流行のチョイ悪親父など比べようが無いくらい、いい男。

パンフレットなど読むと、CBSから制作費など降りなかったので、
プロデューサーのフレッド・フレンドリー(ジョージ・クルーニ)とお金を
出し合って制作費にあてたという。
本当にジャーナリズムの心意気をもった人だったと思いますね。

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     (こちらがエリア・カザン監督です)

僕はこの映画で取り上げられている「赤狩り」を聞くと、
思い出す映像があります。
もう何年も前になりますが、アカデミー賞の授賞式で、エリア・カザンが
名誉賞?の受け取りに壇上に現れた時、会場から拍手とブーイングの
両方が起こりました。
このエリア・カザン、有名な監督ですが、「赤狩り」の時代、自分にも火の粉が
降ってきて、仲間の名前を言えば許してやるみたいな感じで、仲間を売って
しまったんですね。それでハリウッドから追放になった映画関係者も多く、
未だに、仲間を売った奴として歓迎されないですね。

ジャーナリズムを貫いたエド・マーローですが、この番組の後、
CBS会長と揉めて会社を辞め、その後は放送業界には携わる
ことなく、57歳の生涯を終えました。

今のこの世界を見たら、エド・マーローはどんな番組を作るの
でしょうか?

マーローが、TVのあり方を問うたスピーチが重くのしかかる。
by fyamasan | 2006-05-23 03:40 | 映画

メジャー監督、デビューを目指して!


by fyamasan
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