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カポーティ~アウトサイダーということ

この映画を見て、ふと考えた。
アウトサイダーとは?
簡単に言えば、一般人からはみ出した人。
このアウトサイダーも二通りに分かれる
もんなんですね。
陽の当たる場所へ行くもの。
日陰の人生を歩くもの。
果たして、カポーティはどちらに?

映画「カポーティ」

カポーティ~アウトサイダーということ_c0033213_154487.gif

1959年11月。
当時、すでに作家として名声を得ていた
トルーマン・カポーティ。
彼はある新聞記事に目を留めた。
カンザスの田舎町で起きた一家
4人惨殺事件。
作家としての嗅覚か、これは何かとてつもない
ネタになると考えた彼は、友人とカンザスへと
取材へ出かける。

しかし、この事件を取材することが、
彼の作家人生を大きく狂わす事に、
彼はまだ気づいていなかった。

作家、城山三郎さん絶賛のノン・フィクションの
最高峰の「冷血」。
その「冷血」が出来るまでと並行して
カポーティの人間性がするどく描かれてます。


事件の犯人は二人組。
カポーティはその一人、ペリーから色々話を
聞いて取材を進めます。
この取材場面でびっくりしたのが、今では
考えられないですが、当時としては同じ監房に
入って、話を聞いているんですね。
寛容といえばそうなりますが、
「昔はこんな状況だったのか」と興味深いです。

そして、注目はペリーとカポーティの共通な過去。
家族の愛に恵まれなかった二人。
何かが違えば、カポーティも殺人事件を
起こしていたかもしれない。
カポーティは言います。
「同じ家に居ながら、彼は裏口から、
僕は正面から出てきたんだよ」

早くから同性愛者としてカミングアウト
していたカポーティ。
これだけでも、彼はこの当時では
アウトサイダーな人間。
人の道を外れ、犯罪を起こしたペリー。
作家として成功しながらも、同性愛者であり、
孤独感が消えず、ゴシップを起こすことで
注目を浴びて、寂しさを紛らわしていた
カポーティ。

カポーティ~アウトサイダーということ_c0033213_29055.jpg



カポーティが力のある弁護士をつけたことで、
この事件はなかなか最後の審判が下りません。
本を早く書き終えたいカポーティとしては、
彼の最後を見たいわけです。
しかし、友人としてペリーを生かしてあげたい
と思う気持ちもあるわけで、
様々な気持ちがカポーティの中に渦巻く。

ラストで明らかになるカポーティの
その後の人生に驚愕。
それゆえ「冷血」は彼の人生を捧げた
作品であったのだと、あらためて気づかされます。

ただ映画としては、淡々と描きすぎるので、
面白みには欠けます。
あと、カポーティについて日本人が
どのくらい知っているのか?
彼の癖や表情などを知らないと、
フィリップ・シーモア・ホフマンのなりきりの
演技の凄さも伝わってこないのでは?
とも考えたりもします。

カポーティ~アウトサイダーということ_c0033213_2365196.jpg


刑事役でちょい役ですが、クリス・クーパーさん、
いい仕事してはります。
by fyamasan | 2006-10-05 02:43 | 映画

メジャー監督、デビューを目指して!


by fyamasan
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