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メジャー監督、デビューを目指して!

グルバビツァ~悲しみはいつ終わるのか?

今年の大阪ヨーロッパ映画で一番注目していたのが、
「グルバビツァ」です。
配給会社ツインの宣伝の方からの話も聞きましたし、
ベルリンで金熊賞も受賞しました。
でも、もひとつ日本では、話題になっていないのが
悲しいです。

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舞台はボスニア紛争後のボスニアの首都サラエボ。
グルバビツァという住宅地に住む一組の母と娘。
母のエスマは服飾の仕事をしているが、
なかなか生活は楽にならない。
娘のサラはもうすぐ修学旅行があり、
それを楽しみしにしていた。
そのお金を稼ぐ為、エスマはナイトクラブで
働き始める。

ある日、サラは学校でシャヒード(殉教者)の
子は旅費を免除されるという話を聞き、
早速それをエスマに伝えた。
証明書があればいいのだと言う。
早く証明書を出してよと。
常々、エスマはサラに父はボスニア紛争
で戦死したシャヒード(殉教者)だと
教えていたからだ。
しかし、エスマにはサラの父に関する
ことを伝える事が出来なかった。
収容所でセルビア軍にレイプされ
出来た子だとは決して言えなかった。
しかし、サラが真実を知る日がやってくる。



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1991年のソ連邦崩壊から始まった、
ボスニアの悲劇。
かっては家族、近所の仲間として一緒に
平和に暮らしていたのに、
民族というカテゴリーがその平和を壊していく。

22000人のボスニア女性が民族浄化
という名目で、セルビア人に
集団暴行を受けたという事実があった。
それを監督のヤスミラ・ジュバニッチは、
この問題が風化しないように、
もう一度この問題を考えて貰いたい、
その思いで作り上げたという。

映画では暴行シーンが全く描かれて
いませんが、代わりにナイトクラブで
軍服や飾りなど、軍人を思い起こす
ものを見ると、エスマは急に呼吸困難に
なり、安定剤を求める場面が何度か
出てきます。
彼女にとって紛争は終わっておらず、
悲しみが癒されることもない。
ただ唯一の楽しみが娘の成長。
しかし、その娘に真相を伝えるのにも、
大きな苦痛が伴う。

婦女暴行、従軍慰安婦など、戦争という
名目の元、生み出される卑劣な犯罪行為。
被害者はなぜ、その終わることの無い
悲しみを背負っていきなければ
ならないのでしょうか?

怒りと悲しみがこみ上げてきますが、
映画「グルバビツァ」は悲劇の話で
終わるのではなく、明日を信じていきる
エスマとサラの姿も描いていますので、
ただの重い内容の映画だと
思わずにいてください。

劇場公開は来年以降になると思いますが、
ぜひ、見て頂きたい映画です。

このボスニア紛争を情報戦争という
側面で捉えたのが、こちら
戦争広告代理店

情報操作の内幕など、情報の怖さ、
価値がよく分かる本となっていますので、
ぜひ、一度読まれることをオススメします。
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by fyamasan | 2006-12-03 22:28 | ヨーロッパ映画 | Comments(0)