やさしいキス~宗教、民族を超えた愛はあるのか?

映画監督ケン・ローチの最新作、「やさしくキスをして」を
見てきました。

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K・ローチ監督と言えば、社会派と言われ、
「スイート・シックステーン」では、スコットランドの荒れる若者の青春群像を。
「ブレッド&ローズ」では、不法滞在のメキシコ人の労働組合闘争を。
「マイ・ネーム・イズ・ジョー」ではアルコール依存症から
抜け出そうとする人間たちを描いています。

今回の「やさしくキスをして」は監督、初のラブ・ストーリー。
でも、普通の恋愛ものでは、ないんですね。

舞台はスコットランドのグラスゴー。
カソリックの高校で音楽を教えるロシーン。
彼女の高校には様々な人種の生徒がいたが、その中で、
パキスタン移民2世の女生徒の兄、カシムと偶然に出会う。
カシムはクラブでDJをしており、友人と自分のクラブを持つのを
目標にしている。


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二人は知り合ってすぐに恋に落ち、将来を誓いあうそんな
仲になるのだが、カシムにはある約束があった。
9週間後に親の決めた親戚の女性との結婚である。

それを知ったロシーンは怒り、別れを告げるが、心はカシムを
捉えて離さない。
カシムもロシーンが忘れられないのだが、家族の絆の前には
どうしようもなく、偽る事に耐え切れず、家族に結婚を断り、
家を出た。
カシムと一緒に暮らすようになったロシーンだが、カシムの姉に
この事が家族の絆を引き裂いて、一族を窮地に陥れていると告げ、
別れを促す。
そのロシーンも異教徒のカシムと付き合っている事で、カソリックの
学校で働けなくなってしまう。

どちらにも不利な環境がそろったこの恋愛。
二人は貫けるのか? それとも、、、。

本来、人の悲しみや苦悩を和らげてくれるはずの宗教が、
逆に人間を苦しめている。
宗教観の薄い僕にとって、異教徒との結婚には、漠然とした
感想しか持ち合わせないが、イスラム教とカソリック。
この2つの溝はあまりにも深い。

少し酷な言い方とすれば、今まで親の庇護の元、温室育ちの
カシムが初めて体験する、自分から行動を起こした恋愛に対して、
かなり甘い考えが見えてきます。
でも、これを乗り越えたなら、初めて親から自立出来るのでは?

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どの国でも、宗教に関わらず、このような問題は
起きるはず。恋人と親や一族の絆とどう向かい合うか。
それを見守るK・ローチ監督の映像は優しい。

主演女優のエバ・バーシッスルが新人ながら、いい演技!
(TVドラマ「24」のバウアー捜査官の娘、キムに似ていますよ)

ちなみに原題は「Ae Fond Kiss(やさしいキス)」はスコットランドの
詩人、ロバート・バーンズによるものです。
このR・バーンズは「蛍の光」の原詩の作者でもあります。
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by fyamasan | 2005-06-04 17:19 | 映画

メジャー監督、デビューを目指して!


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