サムライー評伝 三船敏郎~世界のミフネ
2015年 12月 06日
単行本の時から、早く文庫にならないかなあと思ってましたが、ようやく。
読み終えた今、なんか目頭が熱くなりました…。
色々なエピソードが書かれており、人間三船敏郎を知るには、
十分過ぎる程でした。
本当に色々ありますのて、是非とも読んで欲しいです。
僕が一番グッと来たのが、不仲と噂されていた、黒澤明との話し。
三船は、三船プロの本社事務所に、「黒澤プロダクション」と書いた木彫りの
看板のある部屋を用意していた。
映画「赤ひげ」から、何年後のことであり、いつか黒澤明と映画を作る事を、
待ち望んでいた三船の気持ちが、そこにあったのでは。
僕が思うには、完璧を求める二人がギリギリのところでせめぎあい、
作り出していたが、もうこれ以上は、無理だとお互いが分かって、別れたのでは。
いづれ時期が来たら、また、一緒に出来るかと。
しかし、二人は会うことはあっても、映画を作る事はなかった。
二人の仲は二人にしか、分からない。
友情、愛憎、嫉妬、色々な感情が交差していたのではと、考えます。
男同士の話で僕が思い出すのは、西郷隆盛と大久保利通です。
同郷の同士として、一緒の道を歩んでいた二人は、征韓論で袂を分かちます。
大久保利通が紀尾井坂で、殺される時、読んでいたのが西郷からの手紙だと知り、
友情や裏切りや色々な感情の気持ちより、何か精神的な繋がりが二人にはあったのではと、
考えてしまいます。
黒澤明の三船の葬儀での、弔辞が、また、二人の関係を物語っています。
三船敏郎という偉大な俳優を知る評伝では、ありますが、スクリーンを所狭し
と駆け回ったように、骨太な男の一代記のようにも感じました。
豪快でしかも繊細なサムライのような男。
by fyamasan
| 2015-12-06 01:36
| 読書