スウィート・スウィートバック~黒人版、父子鷹
2005年 11月 28日
今では、黒人の監督、主演、製作など珍しくもないが
1970年代当時では、考えられないものだった。
当時の映画では、黒人を筆頭に、メキシコ人、中国人など
マイノリティーに属する人たちのステレオタイプ的な描き方は、
白人が考える、まさにそれだった。
そんな黒人の描かれ方に不満を感じ、
黒人が納得する映画を作れないものかと、必死で考えていたのが、
ブラックシネマのゴッドファーザーと呼ばれる、
メルヴィン・V・ピーブルズ。
「ウォーターメロン・マン」の成功で、客を呼べる黒人監督と
なった彼だが、ハリウッドが求める映画をまた作りたくなかった。
そして、メジャーの映画会社のオファーを蹴って、
自主映画の製作に入った。
これが後に伝説と呼ばれる映画、「スウィート・スウィートバック」である。
物語はシンプル。
娼婦に育てられた黒人青年
スウィートバックが、白人警官に
暴行を加えられていた
黒人活動家を助け、その白人
警官を殺害してしまう。
そして、そこから彼のメキシコ
までの逃避行を描いたもの。
今から考えるとどうって事のない
映画だが、時代は70年代。
白人に逆らい、黒人の自由を描く
映画など無かった時代。
とても危険な映画だった。
X指定も受け、成人映画扱いになった。
女性の裸やストリップのシーンも多く、主人公の
スウィートバックの特技は、何と「ファック」だからたいしたもの。
さて、この映画を見るとそれはそれでいいのだが、
この映画を作るに至った動機やら、製作過程など、
いかに「スウィート~」が出来上がったのかを描いた
映画を見てもらうと、より一層楽しめる。
それが、「バットアス」
メルヴィンの息子、マリオ・V・ピーブルズが監督、主演を務める。
黒人が胸を張って見れる
映画を作りたい。
その一心で始めた「スウィート~」。
内容から中々出資者のめどが
立たない。
ようやく探した出資者もクランクイン
前に逮捕されたりと、前途多難が
待ち受けていたが、メルヴィンは
自腹を覚悟で製作を始めた。
案の定、最初からトラブル続き。
瞬く間に予算はオーバー。
金策に走りながら、撮影を行い、
一人7役もこなすメルヴィン。
疲労と睡眠不足で、失明の危機にまで陥る。
スタッフの不当逮捕やトラブルは続くが、
メルヴィンの全身全霊をかけた映画が
ようやく完成する。
しかし、内容から一般の映画館では上映出来ない。
B級映画配給会社を説得して、何とか全米で2館の劇場で
上映される事になった。
そして、これが伝説の始まりとなるのである。
(今や大御所であるアース・ウインド&ファイアーも
この映画のヒットで一躍脚光を浴びるのである)
「スウィート~」と「バットアス」、この二本を見ると
本当に、メルヴィン&マリオ親子の熱い思いが伝わってくる。
同じ映画好き、映画を作りたい者としては、
こんな凄い男がいたのかと、驚きと尊敬の念で
頭が下がってしまう。
メルヴィンがこの映画を作らなかったら、その後に
続く黒人映画、「黒いジャガー」や「スーパー・フライ」などの
誕生は無かったかも知れない。
「バットアス」で、メルヴィン役を演じるのが、息子のマリオ。
大ヒットした「ニュージャック・シティ」の監督を務め、
映画会社からは続編を要求されたが、それには応じず、
リアルな黒人の西部劇を描いた「黒豹のバラード」を撮る
あたりは父親譲りであろう。
(左からメルヴィンと孫二人と息子のマリオ)
この映画、特に今、何かを追いかけている人に見て貰いたい。
映画に限らず、自分の夢を追い求めている人たちに。
自分の夢、思いを叶える為には、信念と情熱を持ち続ける事も
大事だが、叶える為には、犠牲にするものもある事も考えないと。
メルヴィンはこの映画を作る為に、仲間や家族を、果ては自分自身まで
犠牲にしてまで、作り上げた。
ここまでしなくては夢は叶えられないのか?
でも、そこまでかけた夢だからこそ、叶った時の喜びは、
言葉で言い表せないでしょう。
先の事を考えると不安で悩む事の多い僕に、
メルヴィンは「お前はここまでの覚悟があるか?」と
語りかけているように思えてならない。
1970年代当時では、考えられないものだった。
当時の映画では、黒人を筆頭に、メキシコ人、中国人など
マイノリティーに属する人たちのステレオタイプ的な描き方は、
白人が考える、まさにそれだった。
そんな黒人の描かれ方に不満を感じ、
黒人が納得する映画を作れないものかと、必死で考えていたのが、
ブラックシネマのゴッドファーザーと呼ばれる、
メルヴィン・V・ピーブルズ。
「ウォーターメロン・マン」の成功で、客を呼べる黒人監督と
なった彼だが、ハリウッドが求める映画をまた作りたくなかった。
そして、メジャーの映画会社のオファーを蹴って、
自主映画の製作に入った。
これが後に伝説と呼ばれる映画、「スウィート・スウィートバック」である。
物語はシンプル。
娼婦に育てられた黒人青年
スウィートバックが、白人警官に
暴行を加えられていた
黒人活動家を助け、その白人
警官を殺害してしまう。
そして、そこから彼のメキシコ
までの逃避行を描いたもの。
今から考えるとどうって事のない
映画だが、時代は70年代。
白人に逆らい、黒人の自由を描く
映画など無かった時代。
とても危険な映画だった。
X指定も受け、成人映画扱いになった。
女性の裸やストリップのシーンも多く、主人公の
スウィートバックの特技は、何と「ファック」だからたいしたもの。
さて、この映画を見るとそれはそれでいいのだが、
この映画を作るに至った動機やら、製作過程など、
いかに「スウィート~」が出来上がったのかを描いた
映画を見てもらうと、より一層楽しめる。
それが、「バットアス」
メルヴィンの息子、マリオ・V・ピーブルズが監督、主演を務める。
黒人が胸を張って見れる
映画を作りたい。
その一心で始めた「スウィート~」。
内容から中々出資者のめどが
立たない。
ようやく探した出資者もクランクイン
前に逮捕されたりと、前途多難が
待ち受けていたが、メルヴィンは
自腹を覚悟で製作を始めた。
案の定、最初からトラブル続き。
瞬く間に予算はオーバー。
金策に走りながら、撮影を行い、
一人7役もこなすメルヴィン。
疲労と睡眠不足で、失明の危機にまで陥る。
スタッフの不当逮捕やトラブルは続くが、
メルヴィンの全身全霊をかけた映画が
ようやく完成する。
しかし、内容から一般の映画館では上映出来ない。
B級映画配給会社を説得して、何とか全米で2館の劇場で
上映される事になった。
そして、これが伝説の始まりとなるのである。
(今や大御所であるアース・ウインド&ファイアーも
この映画のヒットで一躍脚光を浴びるのである)
「スウィート~」と「バットアス」、この二本を見ると
本当に、メルヴィン&マリオ親子の熱い思いが伝わってくる。
同じ映画好き、映画を作りたい者としては、
こんな凄い男がいたのかと、驚きと尊敬の念で
頭が下がってしまう。
メルヴィンがこの映画を作らなかったら、その後に
続く黒人映画、「黒いジャガー」や「スーパー・フライ」などの
誕生は無かったかも知れない。
「バットアス」で、メルヴィン役を演じるのが、息子のマリオ。
大ヒットした「ニュージャック・シティ」の監督を務め、
映画会社からは続編を要求されたが、それには応じず、
リアルな黒人の西部劇を描いた「黒豹のバラード」を撮る
あたりは父親譲りであろう。
(左からメルヴィンと孫二人と息子のマリオ)
この映画、特に今、何かを追いかけている人に見て貰いたい。
映画に限らず、自分の夢を追い求めている人たちに。
自分の夢、思いを叶える為には、信念と情熱を持ち続ける事も
大事だが、叶える為には、犠牲にするものもある事も考えないと。
メルヴィンはこの映画を作る為に、仲間や家族を、果ては自分自身まで
犠牲にしてまで、作り上げた。
ここまでしなくては夢は叶えられないのか?
でも、そこまでかけた夢だからこそ、叶った時の喜びは、
言葉で言い表せないでしょう。
先の事を考えると不安で悩む事の多い僕に、
メルヴィンは「お前はここまでの覚悟があるか?」と
語りかけているように思えてならない。
by fyamasan
| 2005-11-28 04:59
| 映画