歓びを歌にのせて~今年のマイベスト1

春先に見た「コーラス」と同様に、音楽がいかに人間に
勇気を与え、生きる力をもたらしてくれるかを、この
映画「歓びを歌にのせて」は教えてくれる。

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天才音楽家であり、世界に名高いオーケストラの指揮者の
ダニエル(ミカエル・ニュクビスト)は、過密な公演スケジュール
や度重なるプレッシャーなどで、心臓を患い、すべてを捨てて、
生まれ故郷のスウェーデン北部のある村に戻ってきた。

音楽とはもう無縁な生活をしたい、そう思う彼の心に
もう一度、音楽魂に火をつけたのは、村の聖歌隊のメンバー。
週に一度、歌好きが集まってるだけの、アマチュアのコーラス隊。
このコーラス隊の真摯な歌への態度に、彼は余力を振り絞って
熱い音楽魂を教えていく。
彼の指導でコーラス隊は、レベルを上げて、村でコンサートを
開くようになり、オーストリアでのコーラスコンクールにまで出場
するようになった。
しかし、閉鎖的な村の体質に合わないダニエルのやり方に
反対する人たちによって、ダニエルは聖歌隊の指導を外されてしまう。

この映画を見て、感心したのは、登場人物の描写が見事なこと。
誰もが、毎日の生活に不満や心に何かしら傷を持って生きている。
ダニエルやこのコーラス隊の人たちも一緒。
暴力夫に耐えながら二人の子供を育てるガブリエル。
笑顔が素敵なレナも、愛した人にだまされた過去の恋を引きずって
いるし、牧師の妻インゲも牧師である夫との生活に不満があったり、
幼少からデブと言われてきた男や知的障害児のトーレなど、舞台と
なったスウェーデンだけの話じゃなく、ごく身近にいる人たちが
描かれている。

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そして、彼らがダニエルが教える音楽によって、 今まで踏み出せ
なかった人生の一歩を踏み出していく、そこに感動があるんですね。
特に、ヘレン・ヒョホルムが演じたガブリエルが、ダニエルによって
天性の声を見出され、コーラスでソロパートを歌うシーンは、
もう鳥肌ものです。
他のコーラス隊のメンバーも本当に楽しそうに歌を歌っています。
それを見ると、見ている方も楽しく、嬉しくなりますね。

また、この映画には人間の醜さといいますか、嫌な面も描かれてます。
牧師はダニエルが来るまでは、村人から尊敬され、村の第1人者で
あったわけです。
しかし、ダニエルが来てから、少しずつ村人たちが変わってきて、
ミサにも来なくなったり、一番は妻がどんどんコーラスに夢中になり、
自分から遠のいている事。
妻に「罪深い!」と説教をたれようとするが、逆に説教されてしまいます。
「罪なんで最初から無いのよ、貴方たち聖職者がかってに作り上げ、
それでえらそうに私たちに説教たれて、権力が欲しくて
使っているだけじゃないの!」と。
何も反論出来ない牧師、追い討ちをかけるように、
隠していたエロ本が見つかってしまう
(何とも恥ずかしい場面です)。

全身全霊でぶつかるダニエルに、表面的な牧師が
勝てる訳がないんです。
しかし、なかなか自分の殻から、新たな一歩を
踏み出せない牧師。
人間が出来ている牧師であるはずなのに。

ラストにこのコーラス隊が生み出す奇跡も
楽しみにしてください。
どんな奇跡かは、映画を見てからですね。

新しい一歩を踏み出す勇気を、生きることへの
賛歌を謳いあげるこの映画を、今年の最後の
最後あたりに見ましたが、マイベスト1に決めました。

「ラヴェンダーの咲く庭で」や「コーラス」など、
音楽が良かった映画が今年多くありましたが、
来年も多いことを期待したいです!
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by fyamasan | 2005-12-26 03:32 | ヨーロッパ映画

メジャー監督、デビューを目指して!


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