死ぬまでにしたい10のこと~死と生きること

大阪にあるミニシアターのシネマ・リーブル。
開館5周年を記念して、特別レイトショーが
あり、僕は劇場で見逃していたこの映画を
見てきました。
2003年度上映作品の中で、当館で一番の
興行成績をあげた、「死ぬまでにしたい10のこと」

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23歳の主人公のアン(サラ・ポーリー)には、
優しい夫に、二人の愛らしい娘と
生活は厳しいが、素敵な家族に囲まれて
幸せに過ごしている。




しかし、突然告げられた、「あと3ヶ月の命」。
彼女はその残りの3ヶ月を悔いのないように、
生きようと、「その死」までにしたいことを10、
ノートに書き留める。

それらは、
1.娘たちに毎日「愛してる」と言う
2.娘たちが18歳になるまで毎年贈る誕生日の
メッセージを録音する
3.夫以外の人とつきあってみる
4.刑務所にいるパパに会いに行く
などなど。

そして、彼女は残りの人生を毎日、毎日懸命に
生きていく。今まで何とも思わない日常の生活が
彼女にとっていかに大事だったかが,彼女の心に
痛切に響いてくる。


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黒澤明監督の「生きる」など、死を宣告されてあらためて
「生きる」ことに目覚めていく人間を見ていると、自分も
含めて、いかに生きていることの実感を持たないで
生きているかが、身に染みてきます。
思えば、人生の半分以上は「生きる」や「生きている」など
考えずに過ごしているのでは?
と思えてしまいます。

でも、それだからこそ、人間は生きていけるのでは?


毎日、毎日、「生きること」に実感を持ち、使命感を持って
「生きて」いたら疲れて何も楽しめなくなるかも?

この映画では、アンは家族の誰にも「その死」を
秘密にしたまま、ひっそりと消えていこうとしています。
これもひとつの選択だし、家族を悲しませないための
アンの優しさかもしれませんが、残りの3ヶ月を家族と
向き合って「生きる」選択は無かったのだろうかと、
考えてしまいます。

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そこで僕は千葉敦子さんを
思い出しました。
フリーランスの女性ジャーナリストの
先駆けのような人で、彼女は乳癌で
亡くなりましたが、死の最後まで
自分の状態を克明に綴り、死というものに、
向き合いながら、最後までジャーナリスト
として生きました。
もし、家族の者が癌と宣告されたら、それを
当人に宣告するか、どうかの議論において、
千葉さんは絶対に告知すべきだと、
常々言っておられた。
ガン患者が、その死と向き合い、家族と過ごして、
残りの日々を大切に過ごすべきだと。
死を宣告されると確かに怖くて、どうしようもなくなりますが、
そこからどう生きるかが、問題となるのでしょう。

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もしアンが死を夫や母親、職場の人たちに公表して、
そこから死と向かいあう人生を過ごしたのなら、
また違った感動が出てきたかもしれません。

死というものは、死ぬ人だけでなく、愛する人を
失った者も悲しみや喪失感を感じてしまうので、
死ぬ人だけが、苦しいのではなく、
残された人もそれ以上に苦しみを味わってしまう。
だから、もし僕がこの主人公と同じ立場にたてば、
残り少ない時間を出来るだけ、家族や周りの
人たちと過ごす選択を取りたいと思います。

死と向きあうことの意味について、考えされられた映画でした。
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by fyamasan | 2005-12-28 05:00 | 映画

メジャー監督、デビューを目指して!


by fyamasan
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