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蟻の兵隊~未だ戦争は終わらず

2006年8月15日。
終戦からすでに61回目の敗戦記念日と
なりました。
前日に、ものすごい映画を見てしまい、
怒りと悲しみが、僕のこころの中で
渦巻いております。
この映画をぜひ、多くの人に見て
貰いたい、そんな想いが久しぶりに
起こりました。

映画「蟻の兵隊」

蟻の兵隊~未だ戦争は終わらず_c0033213_0425783.jpg

この映画の主人公の奥村 和一
( おくむら・ わいち ) さんは、終戦当時、
中国は山西省に駐屯していた陸軍第一軍に、
初等兵として従軍していた。
この第一軍(残留軍)の一部が、日本の
敗戦後も軍隊として機能を持ち、中国国民
党系の軍閥に合流して、中国l共産党と
戦ったという事実があった。
それが4年間も続き、約550人が死亡し、7
00人以上が捕虜となった。
よって奥村さんは敗戦後も日本へ帰る事が
出来ずに、9年後にようやく帰国出来たのである。


ここで問われる問題が出てくる。
ポツダム宣言受諾後、一斉の軍を保持する
ことを否定した日本政府が、このような
行為を行う命令を下したのか?
政府の見解は、残留兵がかってに傭
兵として、中国軍に加わったと発言し、
それが真実として、今も記録されている。

しかし、奥村さんら生存する元残留兵は、
軍司令官からの命令で軍に加わったと
発言する。
そして、勝手に加わったとして、
日本軍籍も剥奪され、軍人恩給の
保障もされていない。

国の為に戦い、上官の命令に従っていたのに、
なぜ、こんな仕打ちをうけるのか?
どうか真実を語ってくれと、奥村さんら
元残留兵は、国に対して裁判闘争を
行っている。

映画は奥村さんを通じて、この終戦直後の
日本軍がどのような行動をとってきたかを、
ロケは中国にまで及び、入念に描かれています。

蟻の兵隊~未だ戦争は終わらず_c0033213_113626.jpg


奥村さんらスタッフは中国に飛び、終戦直後
からの残留軍らに関する資料を見つける。
そこに、一つの真実が見えてきた。
日本の軍司令官の澄田と中国国民党の
閻錫山(えんしゃくざん)との間に密約があり、
残留兵はそれに利用された事が
明らかになってくる。

当時の日本軍としても、残留兵士の帰国を
進めていたのだが、山西省でのこの不穏な
動きに参謀らが調べに来たが、極秘裏に
事は進められていた。

そして、事を進めていた澄田は戦犯として
裁かれるのを恐れ、偽名を使って
ちゃっかり一足先に帰国しているのである。
しかも戦犯として裁かれることもなかったと
いうおまけもつく。

「男たちの大和」でも、
軍の偉いさんは何かと理由をつけて、
玉砕覚悟の大和の沖縄行きに
乗艦することを拒んでいた。
(確か途中の長崎で降りたように
覚えていますが)

蟻の兵隊~未だ戦争は終わらず_c0033213_1342962.gif
部下には、「死ぬまで戦え」と
命令するくせに、危険が迫ると
一目散に逃げる。
これが軍の上層部の実体、
お偉い軍人の真の姿で
あるのかと思うと、やるせなさが残る。

満州国で最強と謳われていた関東軍も
ソ連の南進が始まると当時満州に住んでいた
日本人を守るどころか、我先にと逃げている。
(これが中国残留孤児の原因の
一つでもありますが)

赤紙一つで召集し、挙句にかってに軍を出て
行ったから補償はしないという国に、
なんの愛国心をもてようかと、思えてくる。

今、小泉首相の靖国参拝からA級戦犯の
処置などいろいろな問題が出てきていますので、
この映画を見て、みなさんも色々と
考えて頂けたらと思います。

大阪では十三の第七藝術劇場のみですが、
連日盛況のため、上映回数も増えていますので、
一度足を運んでみて欲しいです。


「このままでは死んでも死に切れない!!」
奥村さんの言葉が胸に迫ります。
by fyamasan | 2006-08-15 01:35 | ドキュメンタリー

メジャー監督、デビューを目指して!


by fyamasan
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